Live Commerce: 今、注目の「ライブコマース」とは? “ライブ配信”で変わるこれからのEC ~[前編]ライブコマースでできることとは?~

オンラインで物を買うことが、当たり前になった昨今。コロナ禍の外出自粛で、その流れはさらに加速してきました。そんな中で、「ライブコマース=ライブ配信でモノ・コトを売る」という新たな潮流が中国を中心に広がっています。わずか1時間の配信で数億円を売り上げる事例も少なくないという、新しいECの形です。

日本でも徐々に注目され、急拡大が見込まれています。ではこの「ライブコマース」とは、どんなものでしょうか? 電通ダイレクトマーケティングでライブコマースソリューション「LIVE X(ライブクロス)」を開発した、太田航氏に話を聞きました。

「EC×ライブ配信」で実現できる新しいマーケット

そもそも「ライブコマース」とはどんなものなのでしょうか?

簡単に言えば、SNSなどでライブ配信をしながら視聴者と配信者がコミュニケーションできる、新しい対面型のコミュニケーションツールです。その配信の中で、購買や来店の促進を行います。

ECサイトで商品を見ても、使い方や組み立て方がわからないことってありますよね。ライブコマースなら、「こういう使い方もできますか?」「そこをもう少し詳しく見せてください」と、視聴者が疑問に思ったことをコメントすることで、配信者がリアルタイムに答えることができます。ライブ配信の良さを活用した、コマースと言えるでしょう。

配信の告知はどのように行われますか?

企業がウェブサイトやFacebook、Twitter、InstagramといったSNSで告知、もしくは配信に出演するインフルエンサーやタレントさんが自身のSNSで告知します。企業がインフルエンサーやタレントさんをキャスティングすることで、新しい顧客層を獲得するチャンスにすることもできるのです。

ちなみに、「17 Live」などベンチャー企業のサービスも含めれば、10以上の配信プラットフォームがありますが、やはり主に使うのはインスタライブです。他に、ニコニコ動画が使われることもあります。

中国ではライブコマースがすでに当たり前の存在に

ライブコマースがすでに成功している事例はありますか?

ライブコマース先進国は中国で、2020年の市場は525億元(約8000億円)になると予測されているほどです。中国のインターネット人口が7.3億人で、そのうちの半数以上がライブコマースでの購入経験があると言われています。

どのように使われているかと言うと、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーがいて、「独身の日」などイベントがある日にWeChatやT-mall、タオバオなどでライブ配信を行って、大きな成果を上げているんです。1~2時間の配信で3億円近い売り上げを出した事例や、KOL一人で年間40億円以上を売り上げた例もありますね。

出典:灼識コンサルティング

またトップインフルエンサーであるKOLに対してKOC(Key Opinion Customer)と呼ばれる、日本で言うマイクロインフルエンサー(フォロワーは少数でも特定のジャンルで強い影響力を持つ人)のような方もいますし、企業の経営者が自らライブ配信をするなど、ライブコマースはかなり一般的なものになってきました。

また中国では、政府によるTikTokを使ったコロナ禍の支援活動も行われています。たとえば、生産物が売れなくなった農家さんを支援して、ライブコマースで販売する取り組みも行われました。

なぜ、中国がライブコマース先進国になったのでしょうか?

文化的に偽物が多く出回ってきたことが大きいでしょう。偽物を買わないためには、「信用できる人から購入すること」が重要となります。そこでトップインフルエンサーの出番です。「この人の発信なら信用できる」「この人が紹介するなら本物だ」となるわけですね。

トップインフルエンサーが、ライブコマースで商品の紹介や説明をすることで、視聴者は信用して購入するという流れが根付いたのだと思います。

ちなみに視聴者で多いのは、女性です。ライブコマースは動画で商品を紹介する性質から、コットンやグロスといった衛生用品やコスメ用品との相性がいい。反対に、健康食品のようにその場で効果や機能が見えない商品は、ライブコマースに向きません。

日本でもすでにライブコマースは始まっている

日本でライブコマースはどの程度、行われていますか?

電通ダイレクトマーケティングでは2018年から「LIVE X(ライブクロス)」としてライブコマースの支援ソリューションを提供しています。その他の事例で言うと、たとえば、ある歌手がライブコマースで物販を行って、1000万円以上を売り上げた例もありますし、一般の人たちが数百万円を売り上げる事例も出てきています。

また、コロナ禍の中で有名人や芸能人の配信を見るという文化が根付いてきましたよね。数万人もの視聴者を持つタレントさんや有名人も出てきていますし、自分で作ったハッシュタグを舞台の集客に活用する俳優さんもいますね。これは、ファンを大切にして、信頼されているからこそできる、ライブコマース的な活用法でしょう。

「LIVE X」では、どのような事例がありますか?

ひとつ例をあげると、百貨店の伊勢丹様があります。伊勢丹様とは「ライブコマースの成功事例を作ろう」と一緒に取り組んでいて、昨年10月には英国展という催事でライブコマースを実施しました。

英国展で行ったライブコマース

この時行ったのは、レストランの予約チケットやスコーンなどの食べ物の取り置き、ジャムなどの商品販売です。英国展はとても混雑する人気の催事なので、お客様はオンラインで予約や取り置きができれば、並ぶことなく食事ができますし、せっかく行ったのに売り切れで買えなかった……ということもなくなります。ライブコマースと販売の親和性の高さが実感できました。

このときは伊勢丹様のウェブサイトやSNSで告知をして、配信はインスタライブで。また、YouTubeに動画のアーカイブを残しました。

電通ダイレクトマーケティングが支援する強みはどんなところにありますか?

弊社で行うのは、大きく3つのフェーズです。「集客」「ライブ配信」「分析」です。集客は、SNS施策のサポートと広告配信の設計、そしてPRするためのインフルエンサーやタレントのキャスティングも行います。ライブ配信については、商品やターゲット、目的に応じてどのプラットフォームを使うのかの選定、結果を出すための台本づくり、配信が得意なチームを編成しての撮影・配信までですね。

そして、弊社はダイレクトマーケティングの専門企業ですから、インフォマーシャルや映像づくりも行いますし、データに基づき分析・改善といったPDCAを回して、結果を出すための取り組みを行っているのが強みです。

インスタライブやYouTubeでの配信が多いのですが、ライブ配信に決済機能がつく「ライブキット」というコマースCMSも扱っているので、クライアントにあったプラットフォームでの配信が可能です。

どんな業種や商品に向いているのか?

ここまでいくつかの事例を教えていただきましたが、今度はどんな分野に広がっていくと考えられますか?

これまでは比較的、若い女性に向けた展開が多かったですが、より幅広い年齢や嗜好の人たちにも受け入れられると思います。

たとえば、百貨店様にはコンシェルジュがいらっしゃいますよね。オンライン上でコンシェルジュとのOne To Oneのコミュニケーションもできますから、特定の人に向けて「こんな商品が入荷しました」という案内もできますし、外商もオンラインでできるでしょう。

接客業にも、ライブコマースは応用できます。常連のお客様がコロナ禍で来店できなくなった場合に、インスタライブでその人に向けた配信を行うことも考えられますね。

また、「SNSのフォロワー=お客様」と考えるのであれば、「新商品が入荷しました」とライブ配信することで何万人、何十万という単位でアプローチできる可能性もありますし、ライブ配信はいつでもどこでもできるメリットもあります。

商品としてはコスメやファッションなど、商品の見栄えやトレンドの変化が速い商品が向いていますが、あるアウトドアメーカー様はテントの設営の仕方を動画で発信なさっていますから、幅広い業種で応用可能です。

ライブコマースにおいて気をつけるべきことはありますか?

商品を紹介する演者やインフルエンサーが、その商品をきちんと理解していることが重要です。

「ファンの多いインフルエンサーだから売れるだろう」と思っても、演者が商品を理解していなければ、いい発信はできません。また、そのためには企業がインフルエンサーから信頼されている必要もあります。伊勢丹様の事例では、バイヤーさんに出演していただいたのですが、「これはいい商品だ。きっと売れる」という気持ちを持って仕入れたご本人なので、うまくいったのだと思います。

中国で急速に普及し、日本でも徐々に活用事例が増えているライブ配信コマース。しかし、ライブ配信コマースは、モノを売るだけにとどまらない可能性を秘めていると言います。後編では、さらに踏み込んで、ライブ配信コマースから広がる未来を覗いていきます。

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